2012年2月アーカイブ

イタリアで座礁した客船コスタ・コンコルディア号の乗組員(アテンダント)に、大学時代のサークルの知人が居る。この(事故に遭った)航海には乗って居なかったのだが、乗員には彼女の知合いも多いと言う。

今回の事件では(先に逃げ出しだ)船長と乗員についての話題が多く報道された。もちろん乗員にも最後まで乗客のサポートをしていた者も多く居たのだが、その報道は少ない。その旨を報道した一部の記事に彼女は喜んでいた。

彼女がfacebookで書くには、乗員は訓練されていた。避難訓練も毎回ちゃんと行われていた事は報道でも伝えられている。実際にあれだけの大きな船の夜の暗闇の中の座礁横転にしては、(不謹慎な言い方だが)犠牲者は少なかったと言っても良いと思う。乗船していた4300人のうち、乗組員は1000人以上。体制はしかっりしていたと言ってもよいと思う。事故発生後の対応の批難よりも、事故発生の原因を責められるべきだろう(今回のは天災ではなく人災だ)。



対照的なものが、昨年の震災での大川小学校での対応だ。地震発生後約1時間後にやってきた津波によって、教師・児童の多くが犠牲になって、有名になった小学校だ。

地震発生時は児童のほぼ全員が校舎内に居た。立っている事は出来ず、揺れで泣き叫ぶ児童も居たというから本当に大きな揺れだったのだろう。揺れが収まってからはグラウンドに全員が集まったのだが、その後かなりの時間グラウンドに居た様だ。点呼をとって今後の対応について教師が話し合っていたという。その時点で近くに住む家族が子供を引き取りに来ていた。その親に対して一部の教師が「落ち着いてください」と言って引き取りを拒んでいたのも確認されている。その時点で親と一緒に帰宅した一部の児童はその後の難を逃れている。

そして教師の間でまとまった案は「津波が来るかもしれないから、川の堤防に上がろう」というものだった。そして全員を整列させて学校を出て堤防に向かおうとしたその時、その堤防を水が乗り越えて襲い掛かってきたのだった。 行列の最後尾に居た教師は、列の前方の者が波に飲み込まれるのを目にし、とっさに目の前の児童を掴まえて後ろの山に登った。その教師1人と児童3人が生き延びたので、その経緯は明らかになった。



なぜ最初から裏山に登らないのだという批難がマスコミや全国の人々から出た。
昨年夏に実際に現地に行って、自分の目で現地の地形を確認してみた。


学校の周り

運動場。自分が行ったときもまだ行方不明児童の捜索は行われていた。

学校から堤防は近い。この道を挟んで学校と北上川堤防は接している。

"避難目的地"の堤防にかかる橋。この橋が堤防の最も高い場所に有るが、この橋も真ん中部分で崩落している。

もし堤防にたどり着けていても、その堤防を水は乗り越えていた。しかし後ろの山に全員が登っていたら助かっていたと言うのは結果論であって現実的ではない。学校の裏手はすぐ山なのだが、急斜面で木が覆い茂っていて道も無い。ここで学校の裏山に登ろうとは普通は考えないだろう。

結果から分かることなのだが、地震発生後にグラウンドに集まった後は、そこにとどまらずに、橋から反対側の道を南に向かっていたならば全員が助かっていただろう。学校の有る場所はこのあたりで最も低い場所なのだ。学校から徒歩数分の地点、高台は全く津波の被害を受けていない。

その場所から津波を撮影している人が居た(もちろんその人は助かっている)。 この動画の橋のたもとを右に行ったすぐの場所に学校が有る。堤防に逃げても助かっていないことが分かる。  

避難訓練は大川小学校でもこれまでから毎年行われていた。しかしその訓練は教室から出てグラウンドに集まって"終了"だった。それに対して皆(自分も含む)は責められるだろうか。自分の通っていた小学校でも避難訓練は有った。しかし"火事が発生しました"という放送が有ってから、全員が一列に並んでグラウンドに向かうというものだった。今回の地震にしても、発生後に全員が並んで整然とグラウンドに向かうなんてありえないのは分かる。そもそも災害は授業中に起こるとは限らないし、避難するルート(廊下など)が無事である保証は無い。火事に限らない。グラウンドから不審者が武器を持って襲ってくることも有り得る。"逃げる"のは臨機応変に対応しなければいけない。「避難訓練」というものは色々なケースを対応して初めて意味のあるものとなるのだ。

大川小は海からは離れているとはいえ、北上川のすぐ傍で低地なのだから津波を想定した訓練をするorその場合の対応を考えておくべきだった。大きな地震が発生したらすぐに山の方に逃げると (ここで言う山は学校の裏山ではない)。



イタリアでの船の事故はまだ"避難"が巧くいっていたとも言えるかもしれない(もちろん多くの不手際もあったはず)。それに対して大川小学校はマニュアルどうりに行って"失敗"したのであるから、責めるとしたら「臨機応変に対応できなかった事」よりも、「マニュアル(避難訓練方法)の不備」だろうと思う。
イタリアより大川小が問題だと言うのではない。イタリアの事故は"事故が起こった事"が問題で、大川小は"事件が起こった場合の対応を考えていなかった事"が問題だと言いたいのだ。


もちろんこれは"いわゆる天災"だけではなく、"日々の生活"又は"海外旅行"にも言える。
...となぜこんな日記を書いたかと言うと、旅行業許可を取ろうとしている知人から「知事に提出しなければならない"緊急事態における対応表"っていったい何を書けば良いの?」と尋ねられたから。まぁ何と言うか、書き出したらキリが無いから難しいよなぁ。
自分も提出したのはA4を1枚だけだ。自分はどちらも責めることは出来ない。


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