5月の読書記録
読んだ順。こうやって書き出してみると確かに自分の興味の有る方向が見えてくる。ほとんどがブックオフで100円で買った本なのだが。
鴨川ホルモー
万条目学 産業編集センター(2006)
話題ということで。京都を舞台に読者をいつの間にか空想の世界に引っ張り込む文章は良い。と言うよりも、個人的に知っている(ような)場所や、居た居たそんな人というのが次々出てきて面白い。総合人間学部に入学したばかりの主人公は葵祭のバイトでサークルの勧誘を受ける。三条の居酒屋での新勧コンパに参加すると...。舞台は吉田神社やデルタなど。サークルの名称、登場人物の風貌・生態、京大と立命の対決など微妙な小ネタが多く楽しめた(面白いと感じるのは一部の人だけなのだろうが)。結末があっけないけど、京大の映画サークルあたりが映画化しないかな?著者は同い年。
そこに僕はいた
辻仁成 角川書店(1994)
著者の幼少時代から学生時代を振り返った短編集。素直な、澄んだ文章。エピソードを元に現在の心境もちゃんと表現している。面白い。こういう文章で自分も、思い出を残せたらなぁ。
イラクの小さな橋を渡って
池澤夏樹、本橋成一 光文社(2003)
ちょっと偏っているような気もするが、イラクにもこのような普通の人達が暮らしているというのは事実であり、それが分かりにくくなっている、見ることの出来ない現状は残念だ。あの戦争からもう17年も経ったのか。
ソマリア・レポート 国連職員の暮らした不思議の国
小山久美子 丸善ブックス(1994)
イラク以上にもうわけが分からなくなってしまったソマリア。現在はこの本が書かれていた頃よりもひどくなっている(そうなることも書かれている)。元に戻るのはいつなのだろうか。いつの状態が"元"なのか分からないが。ソマリアに対する知識をほとんど持っていなかったので、興味を持って読めた。
私は金正日の踊り子だった<上>
私は金正日の踊り子だった<下>
申英姫 徳間書店(1997)
上巻では一般庶民だった著者が舞踏の才能を見出され、北朝鮮の中枢を垣間見る生活を送るようになるまで。下巻では金正日の動向で暮らし向きが大きく変わる人々を描く。北朝鮮初の外資ディーラーと結婚しイギリスに派遣され、イギリス文化に触れたことで北の体制の矛盾に気づく。喜び組での体験がこの本を有名にしたのだろうが、それよりも北朝鮮の一般の人の考え方、亡命を決意してからの心の動き、あまり詳細は明かされていないが、亡命をめぐっての韓国政府とのやりとりなどがこの本の見所。
八重山共和国
枡田武宗 筑摩書房(1990)
敗戦後日本軍が崩壊し、アメリカ軍も居らず政治空白地域になった八重山地方(石垣、宮古など)。治安が悪化した中で地元インテリがとった行動とは。沖縄本島などの記録は多いが、戦渦も少ない八重山で何が起こったかはあまり知られていないのでは。興味は有るものの何と言うか...文章が面白くなく途中で断念。
サムライボーイ物語−佐藤顕理伝−
ヘンリー・サトウ(石塚博訳) 密門会出版部(1999)
幕臣の子(父は戊辰戦争で大阪で死亡)として、明治初期に静岡で少年時代を過ごした著者は、英語を身につけ渡米。国際ジャーナリストとなる。明治政府嫌いで政府には入らず、帰国後通信社を設立した著者が、幼少時を振り返り書いた自伝(原文は英語、タイトルはMy Boyfood)。江戸末期、明治、大正時代の文化、人の考え方が分かって面白い。ちょっと特殊な人なのだが...
タイムズに掲載の論文「The Soul of Nation」の原文、とヘンリー(顕理の英語当て字。笑)翻訳の日本語訳もおまけでついていたが、いかんせん100年前の英文和訳、ちょっと難しい。でもこんな時代でも、このレベルの本が出版されるくらいの数の知識人が日本に居たことに驚く。明治中期は予想以上に国際化は進んでいたのが分かる。
みだれ髪−チョコレート語訳
俵万智
「みだれ髪」を読んだことのある人って少ないんじゃないのか。高校では国語ではなく日本史で時代背景を知るために習ったことの方が記憶に残っている。大正時代にこれを読んだ人の衝撃は凄かっただろう。きっと。与謝野晶子の生き方も興味深い。ウラジオで見た石碑、熱い生き方をした人達。いや、身近にも思い当たる人が居るけど。
10年ほど前にブームになった俵万智。当時は(若くて)分からなかった内容が今読めば違った印象。それに外国の歌を翻訳するように、歌の雰囲気を訳すうまさ。
八つ口をむらさき緒もて我れとめじひかばあたへむ三尺の袖
〜ペアルックなんか着ないわ新しい服をくれるという人が彼
さびしさに百二十里をそぞろ来ぬと云ふ人あらばあらば如何ならむ
〜「逢いたくて500キロひたすら来たんだ」とそんなあなたがいたなら、いたなら
魔のまへに理想(おもひ)くだきしよわき子と友のゆふべをゆびさしますな
〜理想捨て嫁ぐ彼女を簡単に弱い女と言わないでほしい
奥の室(ま)のうらめづらしき初声(うぶごゑ)に血(おも)の気のぼりし面まだ若き
〜初産の声こぼれきて赤くなる父となりたる顔の若さよ
吐喝喇へ
清水哲男 渕上出版
トカラ旅行中に船で、知り合った人から入手。学生時代に読んだ事のある本だが、その場所(トカラ−鹿児島県十島村)まで行って読むとより深く楽しめる
た。ただこの人の文章が...自分の文章と同じでくどい、と言うかひねくれている所が多い。まぁ、トカラについて書かれた旅行記は少ないのでこの本が旅の参考にはなるのだが。
不肖・宮嶋の一見必撮!
チェチェンニテ一人相撲スの巻
宮嶋茂樹 文春文庫
不肖シリーズでは最も危険な所では?いつもの体力ハード系ではないが。でもいつものノリです。後半は日本での日々の随筆?。この人もいつの間にか偉くなったなぁ。
香港領事 佐々淳行
佐々淳行 文春文庫
警察庁から外務省に出向した著者。香港領事だった若いころを振り返っての回想録。文革やベトナム戦争などの大事件の処理と、日本から視察と言う名目でやってくる国会議員のあまりにもレベルの低い接待とのギャップ。こんなん書いて良いのかなぁという内容多く面白い。個人的には香港暴動や澳門事件についての内容が興味深い。戦争時や経済発展についての本は多いのに、この頃のこと書いた本は少ないのでは。
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