07年11~12月の読書メモ
「鹿男あをによし」万城目学 幻冬舎
「鴨川ホルモー」の次作。今回もばかばかしいファンタジーの世界へ。ホルモーよりは万人向けか。舞台の土地をよく知る者にとっては奥が深く感じることが出来る、と言うか、身近に居そうな登場人物に感情移入出来るのだが、そうでない人にとってはどうなんだろうか(そんな人にもストーリーは通じるのだが)。今回も自分と同じ年齢の大卒男性が主人公なのだが...
これアニメ化したらいけるのではと思ってたら、来週からテレビドラマに...
でもこの文章の雰囲気は映像には難しいか。話もつながっているし。
「イギリス人はおかしい」 高尾慶子 文春文庫
イギリスで映画監督のhouse keeper(家政婦か)になった日本人の体験記。僕も4年前イギリスに旅行に行くまでは、イギリスは「先進国」だと思っていた。あんなに階級社会、権利を主張する社会だとは知らなかった。ただ、イギリスの「システム」が整っている面も忘れられていない。
「楡家の人びと」 北杜夫 新潮社
著者の家族の辿った道を淡々と描く。なんと個性豊かな人々なのだろう。いや、この時代の人はみなそれなりに波乱万丈の人生を過ごしたのだとすれば、平凡な人の特徴をうまく捉えて描いているというのが正しいのかもしれない。
中学3年~高校1年にかけて北杜夫の本を軽いものから順に読みまくった。あのときなぜ読まなかったのだろうか。「輝ける碧き~」ほどではないが彼の傑作だろう。それに北杜夫を知るにぴったりの本(彼の話は後半にちょっとしか出てこないが)。
「海軍乙事件 新装版」 吉村昭 文春文庫
吉村昭の小説はどれも、小説にするにあたって非常に綿密に調べ上げているのが判る。
パラオからダバオへ後退する日本海軍司令部。古賀連合艦隊長官他、重鎮が乗った2機の飛行艇が嵐の中墜落する。彼らの持つ機密書類の行方を描く「海軍乙事件」。
山本五十六機撃墜の詳細、その護衛にあたっていた戦闘機パイロット達の事件以降を描く「海軍甲事件」。どちらも今まで知らなかった事実を知り、面白い。
「北朝鮮 秘密集会の夜」 李英和 文春文庫
北朝鮮へ留学する在日3世。日本語しか話せない著者の「祖国」での体験記。
北朝鮮が初めて「日本人」留学生を受け入れた記録。北朝鮮では日本人として扱われる毎日。わりと軽く読めた...が、大学のときに既に読んだことのある本だった。彼(著者)も今やマスコミに登場しまくり。偉くなった彼のデビュー作。
「最後の鎮魂 シベリヤ物語」 松下忠 光人社
シベリヤ抑留のエッセー集なのだが、いわゆるシベリヤものと違って、文体が明るい。人物の足跡を深く掘り下げるのではなく、ある一瞬の情景をうまく描いているのが多い。日常生活を描いたものなども親しみやすい文章で良い。
「ドラゴン・パール」 シリン・バタノタイ 講談社
1950年代、親米反共政策を続けるタイ。アメリカと中国の間で翻弄される国の元首相の兄弟が「人質」として中国に隠密に送られる。当時小学生だった著者の成人するまでの自伝。華やかな特権社会に属する生活、文化大革命時の下放生活、母国の造反組に命を狙われ、無国籍になり農村での潜伏生活。各国の外交官、国家主導者に守られ、時には隠れながら成人するまでの、かなり異色の経歴を描く。(パールバックの同タイトルの本とは違う)
「南鳥島特別航路」 池澤夏樹 日本交通公社
期待して買ったのだが、なかなか興が乗らず。
良いところばかり行ってるなぁ。
「変なおじさん」 志村けん 新潮文庫
楽しく生きたものが勝ち...とは書いていないのだが、そう取れた。
彼の経歴が述べられていて興味深く読めた。
「クラウディ」 辻仁成 集英社
「アカシア」 辻仁成 集英社
なぜか今読んだ。
「三つの祖国―満州に嫁いだ日系アメリカ人」 上坂冬子 中公文庫
満州国国務大臣の孫、奉天市長の嫁として満州に嫁ぎ、戦後の混乱で中国を出国、アメリカ人と再婚し、今は池坊の教授としてアメリカで生きる日本人の戦後を描く。この人をはじめ、まだこんな経歴の人が多く生きているのだが、あと10年ほどで居なくなるのかと思うと残念。
「満天の星―フルキャスト物語」 平野岳史 アメーバブックス
人材派遣会社を設立、上場するまでの自伝。
本人の「まじめさ」と「適当さ」、「思い入れの強さ、意志の強さ」と「流れに流される様子」相反する両面が伝わる。はっきり言って、たいした内容じゃない。
ただ、僕のこと(特に10年位前)を知っている人が読めば、ちょっと面白い箇所が何箇所か。
「すべては「ありがとう」から始まる 」 林文子 日経ビジネス人文庫
昔どこかで貰った本。前向きな人はすごいなとは思うが...
文章の端々に、この人も批判されてきたのだなと思える箇所が見受けられる。
「戦国城砦群」 井上靖 文芸春秋
昭和20年代の日経の新聞小説。この人も昔は大衆作家だったんだなぁ。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 07年11~12月の読書メモ
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.nakanishi-keiichi.com/mt/mt-tb.cgi/359

コメントする