340独・中欧史の最近のブログ記事

少女 ミーシャの旅
ホロコーストを逃れて3000マイル
ミーシャ・デフォンスカ/著
亀井よし子/訳
早川書房
1997年11月20日

ベルギーで親子で暮らしていた7歳の女の子。突然両親がナチスに捕まり、路頭に放り出される。自分はユダヤ人で、どうやら追われているという事に気付いた女の子は、一人で親を探す旅に出る。徒歩でドイツに向かうが、両親の生存は絶望的な事に徐々に気付く。
この本を有名にしたのは「狼と一緒に暮らした事」で、この話の権利をディズニーが買った事で世界的に知られるようになる。7歳の女の子が徒歩でドイツ・ポーランド・ウクライナ・ユーゴスラビアをこの時代に旅したと言うことがなかなか信じられないのだが...
ナチスから逃れたユダヤ人少女の上海日記
ウルスラ・ベーコン/著
和田まゆ子/訳
祥伝社/2007年11月18日

ドイツで裕福な暮らしをしていたユダヤ人一家。著者の父親がある日突然警察に連行された事から話が始る。
国外に行く事を条件に父親を引き取り、イタリアから上海行きの船に乗るためにドイツを出国。財産の国外持ち出しが出来ないために、持てる限りの日用品を持ち出発。次々とユダヤ人迫害の政策が出される中の移動、現金資産を海外に持ち出せない為に、莫大なお金で船のチケットを入手したので船の中では落ち着いた日々を過ごせたが、上海で船を下りた時点から始る過酷な生活は、読んでいてかなり興味深い。14歳の女の子が体験する様々な出来事。

当時の上海の様子の描写が、ヨーロッパ人少女の目で、飾らず書かれている。アメリカ・イギリス・ドイツ・日本・中国国民党・謎の団体など様々な権力の下で起こる様々な事件。他人事ではなく一少女に直接降りかかる災難を、父親の才覚・偶然に知り合う他の避難民・家族を世話する中国人召使(?)・ビジネスパートナー・闇組織の首領(?)・その愛人達など謎の中国人などに助けられて、又は自分の機転を利かせて乗り越えていく。

9年間の上海での亡命(無国籍になったので亡命すら出来ないのだが)生活の記録。彼女の日本人と中国人に対する描写が面白い。

部屋を借りるため、中国人の大家の部屋で賃貸契約書にサインをするのだが、その時に起こる想定外の事件(?)の箇所の描写が特に面白い。こんな事が有るのかと唸らされる。



ユダヤ人の悲劇、具体的な事件を自分の言葉で書いていて「アンネの日記」よりも興味深く読めた。

戦争が終わってから彼女はアメリカ国籍を取得し、上海で支えあった人達とアメリカで新生活を始めるのだが、このような人達がアメリカの繁栄を支えているのだと思うと、色々と考えさせられる。

著者の父親は避難民の立場で上海で事業を興す(さすがユダヤ人...)。そのおかげで家族は生き延びる事が出来たのだが、彼は上海での日々で何度か「まさかこんな事になるなら予め手を打っておいたらよかった。お金さえ予め海外の銀行に預けておけば...」と述べる。 現代の日本人がこのような境遇(無国籍になり避難民生活を送る)と言う事になる事は、可能性が全くないと言えるだろうか。また大地震が日本で起こり、大都市や原発が直接被害を受けたらもしや...と考えた。
「オリンピア~ナチスの森で」
沢木耕太郎
1998年5月31日

ベルリンオリンピックを記録した映画「オリンピア」。監督のレニは戦後ナチスの協力者として批難されながらも、強い意志で生き続けた。彼女はダンサーとして成功を収めたときに映画監督と知り合い女優になる。映画に惹かれ自分で撮るようになった途端「オリンピア」で成功する。戦後映画界から追放されてからも写真家となり、70台でダイビングを習得、水中写真家としても有名になる。
その彼女にベルリンオリンピックの時の状況、真相を語ってもらうために著者はインタビューを試みるが...

当時の"日本人"の活躍が興味深い。

「夜と霧」 ドイツ強制収容所の体験記録

V.E.フランクル著、霜山徳璽訳

みすず書房

1961/03/05 初版、1971/11/5新版

有名な本だが読んだことが無かった。この本でナチスの強制収容所が世界中に知られるようになったということもあり、 内容はどこかで聞いたことの有ることが多かった。なぜか駅前のホームレス立ち売りで100円で入手。

「択捉遥かなり」の佐々木譲のメジャーデビュー?作。
フィクションなのだが、全くそうは思わせない時代考証。本当にそんなことが有ったのかもと思わせるすばらしい内容。太平洋戦争時の雰囲気もよく出ている。
視野の狭い軍事マニア向けではなく、国際感覚を持つ大人のための冒険小説。


「ベルリン飛行指令」 佐々木譲
新潮文庫 1999年1月25日