2011年11月アーカイブ

「夜の上海」
高 真由子/著
2007年8月29日 講談社

映画の脚本とは知らずに購入。
2005年くらいの上海が舞台。こんなことが有るような、無いような。発展途中の上海を舞台にしたラブストーリー。少し話が薄いかな...



越境~北朝鮮から売られてきた花嫁
新井貴/著
2000年6月

著者は仕事で訪れた北京で、日本語を勉強している女性と出会う。その女性の友達に、「北朝鮮から逃亡してきた日本人女性の子供」がいると言う。その女性は嫁不足の中国の田舎で中国人男性の嫁になり、更に理解の有る(?)中国人夫は、その女性の母親である"日本人"も北朝鮮から連れ出して、今は義理の親子3人で幸せに(?)暮らしていると言う。

日本人女性の子供なら日本人なのではないのか。そもそも北朝鮮に住む日本人??と謎は深まるが、その謎は、著者がその女性と対面することによってすべて明らかになる。

特に素晴らしいルポ、特ダネと言う程の本ではないのだろうが、こういう環境の人が居るというのを知ることは出来る。北朝鮮が"潰れる"と言われるようになって何年経つのだろうか。いつまでこの状態が続くのか分からないが、このような人は代々に渡って苦しんでいるのだ。

ちなみにこの女性(Aさん)の母親(Bさん)は、その母親(Cさん)が戦後の混乱期に朝鮮人と結婚し、北朝鮮の帰国事業にのって北朝鮮に渡ったことからこの話は始まる。よって北朝鮮で生まれたAさんは日本語を話せないし、Bさんの知る日本は子供時代の知識のまま止まっている。AさんもBさんも無国籍で、中国の公安に賄賂を払いながら中国で暮らしている。何十年も前の"失敗"のせいで問題はどんどん複雑になっていく...
もちろんこの本に解決策は書いていない。
外食王の飢え」 城山三郎/著
1982年9月/講談社

高度成長期の熱血小説。自分は好きなのだが、現代と違う"熱い"雰囲気で最初は馴染めないかもしれない。ロイヤル(ロイヤルホストなど)の創始者が主人公。戦後の混乱時期にアメリカ軍に取り入り、万博での成功を経て、外食を"産業"と世間に認めさせる努力を描いている。

これは伝記ではなく小説なので、フィクションがほとんどと思いきや、この本を読んだ後に「私の履歴書」を読んでみたら、内容が全くと言って良いほど同じで面白かった。

この話から30年経った現在、ロイヤルホストも、そのライバルとして描かれているスカイラークもデニーズも売上の伸びは止まっている。この話が書かれた頃の読者は、その頃どんな将来像を描いていたのだろう。
もちろん産業をしての規模は拡大していて、成功には違いない。"最初に行動する人"を責めてはいけない。


これを読んでからロイヤルホストとガストに行けば、両者はなぜこんなに違うのかが分かって面白い...かもしれない。

(memo)
*ロイヤルの創始者、江頭匡一は日本経済新聞「私の履歴書」の1999年5月を担当している。2005年死去
*すかいらーくは2006年、創業者一族がMBOを行い上場廃止。
ハル・ライシャワー
上坂冬子/著
講談社
1994年12月

現代史・ノンフィクションで有名な上坂冬子。駐日アメリカ大使に嫁いだ旧華族出身のハルの足取りを取材したもの。日本人の心を持ったアメリカ人に嫁いだ、アメリカ人の心を持った日本人。戦前にアメリカに留学、ニューヨークに暮らしていたハルの特異な人生を記している。"ハル"は福井のまきんちょと似ていると感じた。

三つの祖国」ほどには驚きは無かったのだが、日米親善に尽くした二人のことを知れたのは良い。

この本の主題とずれるが、明治学院大学やライシャワー邸を建てた繋がりで、ヴォーリス(彼も日本人、それも華族と結婚している)のこと、戦争時にアメリカのスパイの疑いをかけられての暮らしについて触れられている。近江八幡出身の者として興味深い。