2012年6月アーカイブ

ナチスから逃れたユダヤ人少女の上海日記
ウルスラ・ベーコン/著
和田まゆ子/訳
祥伝社/2007年11月18日

ドイツで裕福な暮らしをしていたユダヤ人一家。著者の父親がある日突然警察に連行された事から話が始る。
国外に行く事を条件に父親を引き取り、イタリアから上海行きの船に乗るためにドイツを出国。財産の国外持ち出しが出来ないために、持てる限りの日用品を持ち出発。次々とユダヤ人迫害の政策が出される中の移動、現金資産を海外に持ち出せない為に、莫大なお金で船のチケットを入手したので船の中では落ち着いた日々を過ごせたが、上海で船を下りた時点から始る過酷な生活は、読んでいてかなり興味深い。14歳の女の子が体験する様々な出来事。

当時の上海の様子の描写が、ヨーロッパ人少女の目で、飾らず書かれている。アメリカ・イギリス・ドイツ・日本・中国国民党・謎の団体など様々な権力の下で起こる様々な事件。他人事ではなく一少女に直接降りかかる災難を、父親の才覚・偶然に知り合う他の避難民・家族を世話する中国人召使(?)・ビジネスパートナー・闇組織の首領(?)・その愛人達など謎の中国人などに助けられて、又は自分の機転を利かせて乗り越えていく。

9年間の上海での亡命(無国籍になったので亡命すら出来ないのだが)生活の記録。彼女の日本人と中国人に対する描写が面白い。

部屋を借りるため、中国人の大家の部屋で賃貸契約書にサインをするのだが、その時に起こる想定外の事件(?)の箇所の描写が特に面白い。こんな事が有るのかと唸らされる。



ユダヤ人の悲劇、具体的な事件を自分の言葉で書いていて「アンネの日記」よりも興味深く読めた。

戦争が終わってから彼女はアメリカ国籍を取得し、上海で支えあった人達とアメリカで新生活を始めるのだが、このような人達がアメリカの繁栄を支えているのだと思うと、色々と考えさせられる。

著者の父親は避難民の立場で上海で事業を興す(さすがユダヤ人...)。そのおかげで家族は生き延びる事が出来たのだが、彼は上海での日々で何度か「まさかこんな事になるなら予め手を打っておいたらよかった。お金さえ予め海外の銀行に預けておけば...」と述べる。 現代の日本人がこのような境遇(無国籍になり避難民生活を送る)と言う事になる事は、可能性が全くないと言えるだろうか。また大地震が日本で起こり、大都市や原発が直接被害を受けたらもしや...と考えた。
オランダ兵士長崎被爆記
レネ・シェーファー/著
緒方靖夫/訳
草土文化/1983年7月25日

インドネシアで生まれ育ったオランダ人が、第2次世界大戦勃発を期に現地召集される。そこに攻めてきた日本人に捕らえられて、長崎に送られる。長崎で捕虜生活(造船所で働いていた)を送っていた彼の下に原子爆弾は落とされた。

オランダでは原爆の被害がほとんど知られていないことを憂えた著者の回想記。文章は平易で中高生向けだが、"知らない"人でも読みやすい。
アメリカ弱者革命
堤未果
新潮文庫

野村證券に勤務中に911テロに遭遇、以後ジャーナリストに転した著者の、アメリカ取材記録エッセー。大統領選挙の機械投票に異を唱える人、イラク帰還兵、アメリカ軍のリクルーターなどを取材する。
華やかな舞台の裏の暗い現実。
日本から出ないと分からないが、アメリカに住んだことのある人なら感じる違和感。
世界130ヶ国自転車旅行
中西大輔
文春文庫

11年間をかけて世界を2周(?)した著者の旅行記、と言うよりエッセー。

11年間の旅の予算が60万円、帰国の理由は植村直巳冒険賞受賞というのがすごい。当然途中で多くの人と出会い、何度も長期滞在をしている。常人では得る事の出来ない体験を、さらっとした文章で書いている。

ところでこういう人は、これからどういう生活をしていくのだろう。引退してNZで余生を過ごすヒラリー卿や、50年以上自転車で旅をし続ける有名ドイツ人なども出てくるのだが...
[Bartender] 城アラキ 1-3巻 集英社
[深夜食堂] 安倍夜郎 1-2巻 小学館
日本《島旅》紀行
斎藤潤
(光文社新書) [新書]
* 小・中学校の同級生の弟が書いた本ということで読む。なかなか刺激的なタイトル。普段の自分なら買う事は無いだろう(笑)。ただし、中身はそんなエゲツナイ内容ではない。その真逆で、真面目な本だ。しかも堅くなく非常に分かりやすい書き方をしている。彼は(その奥さんも)税理士なのだが、全く専門的な話は出てこない。高校生に読ませるべき内容だ。


20代、お金と仕事について今こそ真剣に考えないとヤバイですよ!
野瀬大樹/野瀬裕子
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
2009年4月14日


直接は触れられていないが、彼の家は商売をしているのを自分は知っている。この本の内容は近江商人の家訓や生き方と相通じるものがある。自分も知らず知らずの内に親から言われている事柄ばかりだ。ただしいつも肝に銘じていないとついつい忘れがちの事と言うべきか。

誰にでも実践できることばかりだ。つまらないとか言うべきではない。金持ちになる人はすべて実践している事ばかりだろうと思う。あぁだから自分はだめなのか。