2017年8月アーカイブ



明治期の加計呂麻島での生活を静かな文章で情緒的に描かれている。話し言葉の部分は当時の言葉で書かれていてルビがふられている。島尾ミホ最後の作品なのだが、80代後半の人が書いたとは思えないきれいな文章(80代の人の文章を読むこと自体あまり無いが)。
  島尾ミホは加計呂麻での少女時代、結婚後の東京での時代、平穏を求めての家族での奄美移住、夫の死去後の静かに暮らす時代、それぞれ別の小説に描かれている。東京で生活をしていた時代の「死の棘」で描かれた"狂うひと"のイメージが自分は強く、そして夫の島尾敏雄死去後ずっと喪服(黒い服)で過ごした彼女だが、心の奥底には加計呂麻で暮らしたときの思い出がずっと残っていたのだなと感じされられる一冊だった。