「鴨緑江流るる」
大林高士
1998年12月25日
ティ・アイ・エス
偽偽満州
岩井志麻子/著
集英社
2004年2月26日


なんて悪い男なんだ、中西は...(苦笑)
【出版社の紹介文】 昭和初期の岡山。美貌と巧みな嘘で男たちを虜にする売れっ子女郎・稲子。客の中西に世間を騒がすピストル強盗・通称ピス完の面影をみた稲子は、商売を忘れてこの悪漢に惚れ込んだ。ともに大陸へ渡ったが、大連で遊廓に売られ、中西を追う旅が始まる―。見知らぬ異国で、人を殺め、金を奪い、男を騙しつつ、思う男に抱かれたい一心の逃避行。赤い大地を破滅へと疾走する女が見た夢の果てに...。

上海タイフーン
福田靖/著
講談社
2008年8月26日



NHK 土曜ドラマ「上海タイフーン」
「失業し失恋した30歳OLが上海に移住し起業する」という,有りがちなようであまり無いような、いややはり有る(笑)、テレビドラマにぴったりのストーリー。ドラマを少しだけ観た事があり気になっていた。視聴者(30代女性)と主人公は層が一致し、さらに華流アイドルが共演。小説ではなくテレビドラマの脚本として書かれたもので、その視点で読むと確かに良く出来ている。

海外で起業する人は、日本で成功して得た資金又は投資家から集めた資金で始める人と、この話のようにゼロからスタートする人が居る。この話のなかでも書かれているが、上海に行けば成功するわけではない。変に夢や希望だけを持って行く人は弱肉強食の世界には耐えられない(日本で耐えられないのだから、中国で耐えられる可能性は低い)ことにもちゃんと触れている。

自分の身の周りに何人か上海在住経験の有る人が居る。この本の舞台である2007~2008年というのは、今思えば上海での盛り上がりがピークだった頃だ。新天地に住んでいたI君の家に遊びに行った時のことを思い出す。万博開催時(2011年)は中国全体ではまだまだ成長途上だが、上海だけだとピークとは過ぎていたように思う。そういう意味でもこのドラマはタイミングを掴んでいて、その雰囲気をうまく描いていて面白いと思う。この脚本家の上海滞在はわずか6日。さすが。
中国史の目撃者」毛沢東から鄧小平まで
ジョン・ロードリック/著、山田耕介/訳
1994年7月14日
TBSブリタニカ

"COVERING CHINA" by John Roderick

~ロドリックさん、あなたがドアを開けました。
1971年4月12日 周恩来

語学の才と機知を認められて、アメリカの諜報要員として徴兵された地方新聞記者青年。インドを経て重慶政府付として第二次世界大戦末期に四川省に向かう。戦後はAP通信特派員として中国共産党の取材に当たる。長征にも同行し、延安での中国共産党埋伏時代も経験した唯一の外国人記者となったために、毛沢東を始めとする革命第一世代と個人的な繋がりを持つ貴重な経験を得る。当時の描写部分がこの本で最も盛り上がる部分だ。
文化大革命時代は入国できなかったために、日本で中国の定点観測を行うのだが、文革前の経験が有る為に適切な判断をすることが出来ている。中国とアメリカが再び外交を結ぶきっかけとなるピンポン外交も同行するなど、非常に稀有な経験をしている。
89年の天安門事変での鄧小平の学生弾圧の判断について批難はしているが、鄧小平のその決断については予め予測していたようだ。

この本を読み、中国共産党のこれまでの経緯について評価はしなくてはいけない。毛沢東と鄧小平の業績はやはり大きい。ただ、彼(著者)も何度も悔しさ(?)を交えて書いているが、毛沢東と鄧小平の"変わり身"が残念でならない。
「魅惑のミャンマー投資」
松田健/著
2008年6月10日
カナリア書房

ミャンマーが発展途上にあり、成長が見込まれるのは理解できる。また親日国で、犯罪が非常に少なく、信用もできるのは実際に自分も行ってみて知っている。資源国で担保能力が有ることや、契約書は基本は英語(ミャンマー語ではなく)というのも投資を呼ぶ込むことに有利だ。

しかし停電が日常茶飯事で、インターネットも自由に利用できず、かつ外国資本での貿易業は禁止されている(製造業などに限られる)、為替は公定レートと実勢レートで大きな差があり、さらに外貨建送金はできないという条件では、なかなか難しい。

法律は整備されておらず、規約・通達は頻繁に変わる。またそれは明文化されておらず、口伝で伝えられる...というのは日本企業にとって論外だ。同じものを作って輸出しているのに、月によって輸出が止められたり、賄賂が必要であったりというのでは、外国人が「参入しない」理由として十分かと思う。

一文一文は成立しているのだが、この本は文章としてまとまっていない。筆者がミャンマーが好きであることは分かるのだが....
「それぞれの戦争」

豊田穣/著
光人社
昭和57年6月17日

ソロモンで操縦していた爆撃機を撃墜されて海上漂流中に米軍捕虜になり、帰国後新聞記者となった著者が、その経験を元に書いた短編小説集。戦後のどさくさに紛れた時代の人々の様子がうまく描かれている。
半島へ、ふたたび
蓮池薫/著
新潮社
2009年6月25日

"拉致被害者"の蓮池さんのエッセー。
前半は著者のソウル旅行の旅行記。「日本語・南北それぞれの朝鮮語が分かる、北朝鮮で暮らした事の有る日本人」という特殊な立場の人の韓国旅行ということで、普通の日本人のソウル旅行記とは少し異なっていて面白い。北朝鮮と韓国との微妙な差(政治体制や生活レベルはもちろん大きく違うが、民族の性格は当たり前だが似ている)を考えながらの旅。
わずか数日のソウル旅行だけでこれだけ文章を書けるのだから、旅の思い出は旅の長さや、どれだけすごい所(?)に行ったかというのが重要でないことがよく分かる。

後半は、日本での翻訳家としての生活、韓国の小説化との交流についてのエッセー。ブログからの転載ということも有り、そんなに示唆に富んだ文章という訳ではないが、"翻訳家"の心情などは興味深い。

この人も日本に帰国してもう何年も経っているのかと改めて思う。まだ帰国していない拉致被害者のことも気になるが、蓮池さんのこれまでの北朝鮮での暮らしも非常に気になる。まだ公に出来ないことがたくさん有るのだろうと思う。
官僚に学ぶ仕事術
~最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック~
久保田崇
毎日コミュニケーションズ
2011/5/24

佐谷の後輩が本を書いたとのことで"用賀図書館"で借りて読む。出版記念パーティにも行けなかったが、著者の経歴をサイトで読み興味を持つ。


本のタイトルはなかなか刺激的なもの。"売るために"つけたのがよく分かる(最近ハヤリの)タイトル。このタイトルだけ読むと高慢なイメージを持ってしまうが本の内容は異なる。著者がアグレッシブだがまじめだということはすぐ分かる。

本の内容は良い言葉で言うと、平易で分かりやすい。意地悪く言うと、そこまでの深みは無い。留学などの著者の経験から著者の仕事のやり方が説明されている。特に目新しい斬新な"仕事術"が披露されているわけではないのだが、誰に対しても分かりやすく伝えるという目的にそって書かれたものであると思って読めば、なかなか良く出来ている。

彼はこの秋から陸前高田副市長になった(35歳!)。震災復興に向けて彼の若い力を活用できれば良いと思う。論理的な思考が出来る彼ならば、きっと...

twitter @takashi_kubotaも積極的に使っている。東国原知事もそうだったが、多くの意見を聞いて、コメントも返している。彼の人柄が分かる。
「日中戦争見聞記
-1939年のアジア-」


コリン・ロス著
金森誠也+安藤勉訳
1990年4月10日 新人物往来社
Colin Roβ "Das Neue Asien (NEW ASIA)" 1940Leipzig

オーストリア人(旅行中にオーストリアはドイツに併合されたので"ドイツ人"になる)の新聞記者の取材旅行記。

第二次世界大戦直前の、国際情勢が風雲急を遂げる時代。客観的な視点で書かれた"旅行記"で、非常に面白い。

中立国籍・日本の同盟国人(ドイツ人)・ヨーロッパ人、と立場を使い分けて旅をする。アメリカにも日本にも満州にも、共産党支配地域も、国民党支配地域も、イギリスやフランスの租界と移動する様は面白い。

旅のルートは、アメリカからの船で横浜で日本入国。東京・江ノ島を観光後、自らベンツを運転し広島へ。下関からフェリーに乗り釜山。ソウルを経て鉄道で満州国へ。鞍山、新京、開拓団入植地、ハルピン。外蒙古でモンゴル王の徳王と謁見後、日本軍占領下の華北へ。北京、天津、上海、香港と中国を鉄道などで縦断。車でハイフォン・ハノイへ。ハノイから民間航空機で昆明、中華民国(国民党政府)の首都の重慶へ、というもの。その後運城から成都に向かう途中で終わっている。

書ききれない多くのエピソード。
関東大震災で瓦礫の山になった横浜。出征兵士を送る賑やかな行列の後に来る、戦死した兵士の葬列。車で日本横断中の村々での様子。日本統治下の朝鮮。満蒙開拓団との対話。近代化が図られている途上の満州。日本とロシアの間で揺れ動くモンゴル。清が滅びた後の混沌とした北京。北京・天津・上海での欧米諸国の租界の様子。近未来に来襲する日本軍に怯える香港のイギリス人。日本軍戦闘機に襲われるフライト。空襲下の重慶での生活...

今となっては貴重な、多くの人との対話。
阿南陸軍大臣、星野満州国総務長官、満蒙開拓団、ハルピンの亡命ロシア人、徳王(モンゴルの王、日本軍の傀儡政府のお飾り)、華北進駐の日本軍兵士。重慶に住むのドイツ人(ドイツは日本の同盟国だが、中華民国に宣戦布告したわけではない)、中国国民党員などなど。

訪日前に彼は南北アメリカ、アフリカも旅をしている。他国と比較してのヨーロッパ人の率直な感想も興味深い。

大学時代に購入した本を再読。前回はそこまで深く読んでいないと思われる。読む者の、時代背景・現地情勢などに対する知識・経験によって、面白さが変わる本かもしれない。
「夜の上海」
高 真由子/著
2007年8月29日 講談社

映画の脚本とは知らずに購入。
2005年くらいの上海が舞台。こんなことが有るような、無いような。発展途中の上海を舞台にしたラブストーリー。少し話が薄いかな...



越境~北朝鮮から売られてきた花嫁
新井貴/著
2000年6月

著者は仕事で訪れた北京で、日本語を勉強している女性と出会う。その女性の友達に、「北朝鮮から逃亡してきた日本人女性の子供」がいると言う。その女性は嫁不足の中国の田舎で中国人男性の嫁になり、更に理解の有る(?)中国人夫は、その女性の母親である"日本人"も北朝鮮から連れ出して、今は義理の親子3人で幸せに(?)暮らしていると言う。

日本人女性の子供なら日本人なのではないのか。そもそも北朝鮮に住む日本人??と謎は深まるが、その謎は、著者がその女性と対面することによってすべて明らかになる。

特に素晴らしいルポ、特ダネと言う程の本ではないのだろうが、こういう環境の人が居るというのを知ることは出来る。北朝鮮が"潰れる"と言われるようになって何年経つのだろうか。いつまでこの状態が続くのか分からないが、このような人は代々に渡って苦しんでいるのだ。

ちなみにこの女性(Aさん)の母親(Bさん)は、その母親(Cさん)が戦後の混乱期に朝鮮人と結婚し、北朝鮮の帰国事業にのって北朝鮮に渡ったことからこの話は始まる。よって北朝鮮で生まれたAさんは日本語を話せないし、Bさんの知る日本は子供時代の知識のまま止まっている。AさんもBさんも無国籍で、中国の公安に賄賂を払いながら中国で暮らしている。何十年も前の"失敗"のせいで問題はどんどん複雑になっていく...
もちろんこの本に解決策は書いていない。
外食王の飢え」 城山三郎/著
1982年9月/講談社

高度成長期の熱血小説。自分は好きなのだが、現代と違う"熱い"雰囲気で最初は馴染めないかもしれない。ロイヤル(ロイヤルホストなど)の創始者が主人公。戦後の混乱時期にアメリカ軍に取り入り、万博での成功を経て、外食を"産業"と世間に認めさせる努力を描いている。

これは伝記ではなく小説なので、フィクションがほとんどと思いきや、この本を読んだ後に「私の履歴書」を読んでみたら、内容が全くと言って良いほど同じで面白かった。

この話から30年経った現在、ロイヤルホストも、そのライバルとして描かれているスカイラークもデニーズも売上の伸びは止まっている。この話が書かれた頃の読者は、その頃どんな将来像を描いていたのだろう。
もちろん産業をしての規模は拡大していて、成功には違いない。"最初に行動する人"を責めてはいけない。


これを読んでからロイヤルホストとガストに行けば、両者はなぜこんなに違うのかが分かって面白い...かもしれない。

(memo)
*ロイヤルの創始者、江頭匡一は日本経済新聞「私の履歴書」の1999年5月を担当している。2005年死去
*すかいらーくは2006年、創業者一族がMBOを行い上場廃止。
ハル・ライシャワー
上坂冬子/著
講談社
1994年12月

現代史・ノンフィクションで有名な上坂冬子。駐日アメリカ大使に嫁いだ旧華族出身のハルの足取りを取材したもの。日本人の心を持ったアメリカ人に嫁いだ、アメリカ人の心を持った日本人。戦前にアメリカに留学、ニューヨークに暮らしていたハルの特異な人生を記している。"ハル"は福井のまきんちょと似ていると感じた。

三つの祖国」ほどには驚きは無かったのだが、日米親善に尽くした二人のことを知れたのは良い。

この本の主題とずれるが、明治学院大学やライシャワー邸を建てた繋がりで、ヴォーリス(彼も日本人、それも華族と結婚している)のこと、戦争時にアメリカのスパイの疑いをかけられての暮らしについて触れられている。近江八幡出身の者として興味深い。

> 「辞めて正解!?~私がサラリーマンだった頃」
神濤玉青/著
2001年11月16日
情報センター出版局

各界の著名人に、サラリーマン時代を振り返ってもらうインタビュー。全く畑違いの分野に脱サラした人たちの話ばかりで興味深い。小説家・スポーツ選手・漫画家・政治家など。サラリーマン時代の経験が今も役立っていると肯定する人が多いが、もう一度やりたいと答える人は少ないのが面白い。
成功者の告白
~5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語~
神田昌典/著
2004年1月26日
講談社

起業の仕方を解説するマニュアル本(←面白くない)は多いが、起業後の具体的なアドバイスを 書いた本は少ない。業種によってアドバイス内容は異なるだろうから当然だが。

この本は起業し成功することによって起こる様々な悪い出来事を乗り越えるにはどうしたら良いかを考えさせるコーチング本。この本ではその悪い出来事を"地雷"という言葉で表している。地雷を無くすことは出来ないが、それを避ける方法、もしその地雷を踏んだ場合の対処法に触れている。このような地雷が有ることを前もって知っていると心構えも変わるだろう。きっと。
ビジネス書なのだがタイトルに有るとおり"物語"形式で分かりやすい。"起業"とは関係の無いと思っている人が読んでも共感する部分は有ると思う

独立した者、既に経験した者が読むと唸らざるを得ない。"用賀図書館"にあったのだが、この本は誰の寄贈なのだろうか...
初版は2004年と有る。その頃の自分がこの本を読んでいたら、今の自分は少し違ったかもしれない。胸が苦しい。
「中国南平ひとり暮らし」
内田正子
2004年11月3日 早稲田出版

他に日本人の居ない中国の地方都市での一年間の記録。当時(2003年ごろ)の雰囲気を知るのには良いかもしれないが、事あるごとに「日本人は~」「中国人は~」と断定調の文章には馴染めなかった。
「引き札と広告~八幡商人の華麗なる商い」
近江八幡市立資料館
2006年3月

「日本人の知らない日本語」
蛇蔵&海野凪子
株式会社メディアファクトリー
2009年2月20日


長崎ぶらぶら節 - goo 映画
長崎ぶらぶら節 - goo 映画
「長崎ぶらぶら節」
なかにし礼/著
2002年10月10日 文春文庫


直木賞の受賞理由がいまいち分からないのだが...

一度は時代に埋もれてしまったひとつの唄が再び、世に出るきっかけというものがこれほどはっきりしているのは珍しい。実在した登場人物たちの生涯は興味深い。

「赤い月」や「兄弟」のような衝撃がほしい。自分が私小説の方が好きというだけなのかな。
「ボクが教えるほんとのイタリア」
アレッサンドロ・ジェレヴィーニ/著
平成13年12月15日/新潮社

日本在住ウン年の、故郷イタリアを愛して止まない著者が、イタリアでの日々を想い書いたエッセー。

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