2012年6月アーカイブ

薩摩硫黄島の宿泊施設は民宿しかない。三島村の公式サイトに掲載されていた民宿は5軒。民宿名と電話番号しか情報は無いので、比較のしようが無い。価格もどこもほぼ同じ金額(1泊2食6000円)のようだ。
お勧めの宿でも有るだろうかとネットで検索するが、あまり参考となる記事が見当たらない。適当に電話をして最初に繋がった「民宿カジュマル」に泊まる事にした。
予約をしたのは宿泊する前日。金曜日の午後。島には店などが無いだろうから、食材の仕入れなどを考えるとギリギリだったかもしれない(三島村のサイトにも、必ず事前に予約するように書いてあった)。



島に着いて船を下りて、荷降ろしの様子の写真を撮り、さて宿はどこだろうかと考えながら集落へ歩こうとした途端、ワゴン車がすぐ傍に止まって運転席のおばさんが声をかけた。「兄ちゃん、昨日電話した人?」
「あ、そうです。カジュマルさんですか?」
確かにこの船でやってきた男一人の観光客というのは自分だけかもしれない。車で宿まで送ってもらう。と言っても人口120人の小さな集落、港から1分ほどで民宿カジュマル荘に到着したのだった。 


部屋数は6部屋ほど。詰め込めば結構泊まれそうな大きさ。一番奥の部屋に。
テレビとエアコンだけの8畳間だった。(いや、テレビとエアコンがあれば十分だが)。
この日の客は自分だけ。夕食は7時にと伝えて、荷物を部屋に置いて島内探検散策に出かける事にした。


宿を出たところで野生のクジャクと遭遇。この後にも何回か見かけたが、普通の道路をクジャクが野放図に歩いている。かなりシュールだ。



島内を6時間歩きまわって(本当に歩いていた)、疲れ果てて夕方7時に宿に戻る。食事が座敷の部屋に用意されていた。

おばさんが港の堤防で釣ってきたところというイシグロの刺身と揚げもの、カサゴの焼いたもの、これも昼間に山から採ってきたという大名竹を焼いたものと煮たもの。久しぶりに歩いたのと昼に食事をしなかったのでお腹を減らしていたのだが、これをおかずにご飯、味噌汁などで十分満足できた。サラダの野菜や調味料を除いて、すべて島でとれる食材。



「この竹の子はえぐみが無いですね、焼いただけなのに普通に食べられる」と言ったら、おばさんは「そりゃ当然だよ、この竹の子は島の特産で。大名竹は竹の子の王様だよ」と言う。船の中で隣の竹島の竹林の一口オーナーを募集するポスターを見たのだが、この硫黄島でも取れるという。昼間に俊寛堂の近くでもたくさん竹の子が生えているのを見た。その時は「細い竹の子だ」と思い気にとめなかったのだが、ここの竹はそういうものらしい。"大名竹の竹の子"はかなりの高級品とのこと。シーズンになると東京へ運ばれて料亭向に売られているという(話半分に聞いたが本当だった)。生産量が限られるから流通しないのではなく、良さが分かる人に高値で売られているという事は、本当に品質が良いのだろう。



夜はエアコンをつけた。クジャクの鳴き声だけが響いている(これまでクジャクの鳴き声なんて知らなかった)。夜半に急に大雨になった。南国の夜は、昼間の疲れのおかげで気持ちよく眠れた。



朝食のときに、壁にかけてあるサインに気付いた。「へー、桂三枝さんがこんな離島まで(そしてこの民宿にまで)来たんだ(先月の"私の履歴書"が桂三枝だったので気になったので)」と言うと、「そうよ、結構有名人が来るのよ」とのこと。そう思って壁に有る写真を見るとホンジャマカの石塚だ(これは別に驚かない)。色あせた写真は椎名誠とこのおばさんが宿の前で一緒に写っているもの。こういう人はこういう所が好きだろうなぁと思ったら、石原慎太郎も作家の頃に硫黄島まで来ていたと言う。

これが伊豆や北陸の温泉とかなら全く驚かない。でも鹿児島の離島までわざわざ来ているのだ。夕方に港でのおばあさんやNHKの人との立ち話でも話したが、この島には"プロ"や"マニア"の人達を惹きつけるものが有るのかもしれない。



廊下にはマンガ。壁には他のゲストハウスの宣伝や地図など。別府や那覇などにゲストハウスが有るのは知っていたが奄美や与論にも有るのか。


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