201710 天売・焼尻の最近のブログ記事

「この季節は焼尻島で営業している店は無いから食べ物を予め買って持って行く方が良いよ。天売島よりも不便で物価も高いから。あ、でも"おくむら"さんならやっているかな。移住してきた人が開いた喫茶店」と、焼尻島に行く前に天売島で言われていたので、昼食はここに行こうと予め決めていた。

「"おくむら"さんは商工会に加盟してないから地図には載っていないし看板も出ていないのだけど、役場支所の近くに有る洒落た建物なので行けば分かると思う。道を歩いている人は居ないだろうから人には聞けないけど、島の人なら誰でも知っているよ」という情報でとりあえず向かったところ、すぐにそれと思しき建物を発見。中に入った。

意外な事に男性客が一人いて、店のオーナーと思われる女性とストーブの前の席に座り話している。「あら、お客さん?お食事?」と迎え入れられたのは10畳くらいの部屋。木製の家具、本棚を埋めている本は社会派小説と画集や建築関係の本。店と言うよりは女性の家の居間といった感じだ。

メニューは食べ物は"カレーライス"と"スパゲッティーニミートソース"の二つのみ。飲み物はコーヒーや チャイ(!)などが書かれている。カレーは売り切れたとのことでパスタを注文した。

「ゲストハウスのお客さん!?」と僕に声をかけた男性は島に住む漁師だった。港に帰ってくる漁船のエンジンの音が聞こえてきたところ「なんか貰いに行くか」と席を立って店を出て行った。

パスタは予想外のものだった。人口200人しかいない島にある喫茶店、そもそも経営は成り立たないはず。移住してきた人が趣味でやっている程度の店で「ミートスパゲティ」なのだから味は最初から期待していなかったのだ。見た目で「え?」と思い、口に入れてまた「あれ?」と思った。苦みが有る複雑な味。察した彼女が声をかけた。「美味しいでしょ、スパイスを配合してつくっているの」。



// オーナーは建築デザイナーとして東京で働いていた。横浜の関内に住み、都会での生活を楽しんでいたが、札幌の専門学校に講師として来てくれと誘われた。その札幌での生活がつまらく感じたと言う。「田舎に行きたくなったの、本当の自然の有るところ。コンビニが有るような中途半端なところはイヤじゃない?焼尻に来てここにしようとすぐ決めたの」。

「この家はどうしたのですか?」と尋ねると「Xさんに見つけてもらったの。いきなり都会から来た女に家を売ろうって人なんて居ないじゃない。やっと見つかったのがこの家。最初はボロボロの廃屋だったの。Xさんも(朽ち果てた)家を見せたら、あきらめて東京に帰るんじゃないかと思ってたのよ」(Xさんは島選出の町議で民宿を経営している/別述) 物件を見る前に、島に移住する事は決めて訪島したらしい。建築士の彼女はその廃屋を柱を残してすべて解体し、建て直した。新しい家を建てた方が安いのだが、原生林の前に立つこの家が気に入ったとの事。

島で唯一の喫茶店は目立つ。ガイドブック掲載や取材の話は何度も来るが断っていると言う。「あれ、でも港に置いてあったこの冊子には大きく載ってますよ」と冊子を鞄から出すとそれは観光協会に頼まれたので許可したと言う。

島での生活、島で暮らしている人達の話から話は派生していく。自分の意見をはっきり言う彼女の元に話をしに来る客が何人も居るようだ。 人口が急減していく離島にやって来た初めての移住者(教師や警察官などの転勤者を除いて)は、今のところ自分のペースを乱さず、気ままな一人暮らしを楽しんでいるようだった。

2時間ほど話していると、空が暗くなってきた。島での観光をまだ何もしていない。あ、これが島での観光だ。

(文章が長くなり過ぎたので、島での生活について聞いた話は別述)


看板も無いので知らないと入りにくい


すぐ前には森が広がる

原生林を突っ切る小径。小さな谷に架っている橋。
焼尻島は古代、海に沈んでいたそうで、天売島にはたくさん居るマムシが焼尻島には居ないなど独自の生態系。

焼尻島のヒツジ。サフォーク種(珍しい品種)。超高級羊肉として売られるそうな。
夏の間は放牧されているらしいが、この季節は建物の中で大切に育てられていた。

天売島はママチャリでまわる。一軒だけ有る貸自転車屋も長期休暇中だったが、近所の人が開けてくれた。
3連休の週末に天売島と焼尻島に行った。3日間で行ける辺境地で楽しそうな所という理由で、特に前知識無く出かけた。航空券も出発当日に取った。
両島ともゲストハウスが有る事は出発してから知り、スマホで予約した。

札幌からバスで留萌市で乗継、羽幌町からフェリー。行ってみて気付いたのは"シーズンオフ"という事だった(笑)。どちらの島もほぼすべての店が春まで長期休みになっている。

少しくらい観光客が来るのではとも思うのだが、ほぼゼロだと言う。現に天売島もあと2人組と1グループ(北海道大学野鳥研究会)が居ただけ。焼尻島に至っては自分ひとりだけだった。3連休でこれなのだから平日は推して知るべし。民宿も軒並み休業している。

だがその理由は"見どころが無い"のではなく、冬のこのエリアは風が強く船が欠航になりやすいから。10月から3月は船は1日1便しか無く、島に渡ってから帰りの船が欠航になると帰れなくなるのだ。去年の10月は1か月のうち14日も欠航したと言う。現に自分が行く前日の金曜日の便は欠航していた。
そんな事も知らずに来たのかと、島の人に驚かれる。「兄さん、何の仕事で島に来たね?(土木作業員か?)」「この季節に島外の人が一人で歩いていたら怪しまれますよ」とか。

ひやひやしながらも、自分が居た3日間はずっと雨は降らず、心配だった風も強くなく。どちらの島も周囲は12kmくらい(自転車で1周2~3時間ほど)で人口は約200人。小さいようで大自然。集落を抜けると人が全く居ないのが良い。本当に誰も居ない。

島に移住してきた人たちの話を聞き、滞在中は飽きることが無かった。島の暮らしだけでなく、人間関係いろいろ聞けて興味深い。みなの心配事はただ一つ、急速に進む過疎化。この話は次回投稿で。


穏やか(波1.5m)というが、往路は船酔いで気分が悪い。自分だけのようだが。

天売島からみた焼尻島。どちらの島もほぼ同じ大きさで、ほぼ同じ人口だが、それぞれ違う個性が有る。


春までは1日1往復のみの運行。連休との事で、島外に出た島出身者や、島外に買い物に出かけた島民などが乗っていて、割と混雑している。

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