無間の鐘を鳴らす

瀬戸大橋の近くにある牛島。周囲4kmの島に人口は11人。丸亀港から隣の大島に向かう船が1日3便だけ寄港する。牛島で船を降りたのは自分ひとりだった。

この島は江戸時代に”内海の海上王”とまで呼ばれた廻船問屋の本拠地として栄えていたのだが、この島に有る寺「極楽寺の無間の鐘」を彼が鳴らした後に彼の持ち船は沈没、家運は没落したという。

今は寺を整備する人が居ないようで、境内は草で覆われていて廃寺寸前だったが、鐘の周りはきれいだった。
鐘を鳴らすと低く大きな音がした。島の人が驚くかと思ったが、その後に島の散策中に住民二人と出会ったが。この件については何も言われなかった。

この怪談に近い話を帰宅して調べてみた。「無間の鐘」は静岡県の寺の逸話として残っていた。鐘を突くと現世では金持ちになるが無間地獄に落ちるという話なので、牛島の話とは少し違う。
これとは別に 坂東眞砂子の小説「無限寺」も思い出した。
自分は金持ちになるのだろうか。そしてその後破滅の道を歩むのか。


「無限寺」 坂東眞砂子の短編小説「善魂宿」」に収録。
鐘を鳴らせば願いが叶うと言われる”無限の鐘”。しかしその鐘を鳴らす際に寺で命じられる”ある事”を守らねばならず、それは鐘を鳴らしてから伝えられる。願を取り消すことは出来ない。守らなければすぐに死ぬという。
明治時代、ある男の子が商家に住み込みで働く事になる。商家のわがまま一人娘のお守役として働く。その後10年ほど経つが、青年は貧しい環境に耐えられず”無限の鐘”をならす。町になりひびく鐘の音。青年は町を出るが数年後に金を貯めて戻ってくる。以前働いていた商家は没落していた。青年はその娘を嫁にする事を条件にその商家の旦那となる。
自分に冷たく当たっていた旦那と妻は居なくなり、美しくなっていた娘は自分に従順。商売も繁盛するのだが、嫁(その娘)の様子が...

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