【薩摩硫黄島】野生化した孔雀

硫黄島(鹿児島県三島村)には、孔雀(クジャク)が居る。
動物園やサファリパークではない。森の中に居る...のだが、集落の中の生活道路でも普通に歩いている。おとなしいと言うか、人を恐れていないと言うか、悠然と歩いているのだ。近づいて写真を撮ろうとすると、羽を広げたり大きな鳴き声で威嚇する。
孔雀は硫黄島に古代から居る...のではない。それだと面白いのだが。
バブル時代にヤマハが硫黄島でリゾートを開発した。そのリゾートホテル内で飼われるために孔雀は連れてこられたのだが、バブル崩壊とともにリゾート計画は破綻、孔雀は野に放たれたのだ。
天敵の居ない外来種が、自然界に放り出されたのだから生態系は崩れるはずなのだが、現在のところ表立った影響は無いようだ。孔雀は雑食で、数が増えているという事は食べ物にも困ってはいない様子。畑が荒らされて困る、畑にはネットをしているという声を島のおばあさんから聞いたのだが、駆除をすると言うわけでもないようだ。”美しいもの”って得というのは人間界だけではないのだ。
そのおばあさんから興味深い話を聞いた。
ヤマハリゾートが撤退するとき、孔雀だけではなくホロホロ鳥も放たれたとの事。しかし現在、硫黄島にはホロホロ鳥は一羽も居ない。ホロホロ鳥は長距離は飛べないし泳げないから、他の島に行くことは無い。
「自然淘汰されたんですね」と言った僕におばあさんは言った。
「あれは美味しかったからね」。
え??
