雲南のバスで、スウェーデンに移住した女性と

香格里拉(シャングリラ)から麗江へのバスは満席だった。座席指定制で自分の席は窓側だったのだが、自分がバスに乗った時には既に通路側の席に中国人の女性が座っていた。

「number nine?」(座席番号は9番?)と話しかけてきたので、英語が出来るのかと喜んで返事をした。一人だと言う。50歳くらいのきれいな身なりの女性。中国のこの年代の女性で一人旅は珍しいと思い、好奇心に駆られた。

「僕が日本人だと分かって英語で話しかけたのですか?」
「服装や歩き方を見れば中国人でないことは分かるわ」
「あなたもそう見えますよ。外の世界を知っている人に。麗江にはお仕事ですか?」
「友達が居るの」
「それは良いですね。どちらから来られたのですか?」
「ユウロよ」
「ヨウロ?(有魯?)どこですか?」
「スウェーデンよ。知ってる?」
「え、Sweden?? もちろん、知っています。行った事ないですけど。中国の街の名前かと思ったんです。あなたは中国人かと思ったのです」
「いえ、私はChineseよ。香港で生まれた、originは上海だけど」
どうりで。人民の国の人とは違う雰囲気なのは。
「香格里拉にも友達がいるのですか」
「ええ、たくさん。boyfriendは一人だけだけどね!」

あれ?香格里拉ではと尋ねたのだが。スェーデンではという意味だろうか。あ、でもこの人、なんか外国の感覚をよく知っている。当たり前だけど。

話し相手が居ると時間は早く流れる。自分達の英語での会話の内容は周囲の人には理解できないのも良い。
バスの車窓からは、鉄道の建設している箇所をよく見かける。こんな雲南の山奥にも。3年後には麗江から香格里拉にも鉄道が開業する。
「中国はどんどん変わっていきますね」
「ええ、人も変わっていく」
「僕が初めて行った”海外”は香港でした。23年前。School tripでした」
「私もその頃はまだ香港に居たわ。あ、人は変わらないわ」
「香港へは今も帰るのですか?」
「毎年帰っているわよ。今回も香港とmain landで1か月居る。でも香港は忙しすぎる。建物は増えてるけど、人の心は変わらない」

麗江までのバスの旅は短く感じた。バスを降り、特にあいさつもせず別れた。


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カテゴリ「隣の席に来た人は」の投稿です。


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