自殺の原因は

no title

家から500mほど離れた場所に有るセブンイレブンが半年ほど前に閉店した。

大通りの交差点に面していたので、信号待ちの際に何度か利用したことが有るが、近くに何軒ものコンビニやミニスーパーが有るので頻繁に行ったことが有るというわけでは無い。このコンビニ閉店の際のことがニュースになっている。

この店舗は他の多くのセブンイレブンと同様、オーナー夫妻自らが店頭で働いていた。ニュースによれば、売上は1日100万円ほど、多い日は120万円有ったという。セブンイレブンの平均は1店舗65万円程度なのでかなり良い方だろう。それほど広い店では無かったが。
オーナーは本部の指導員に勧められて、2014年にローンを組んで自宅用にマンションを購入したが、その後、自店とは道路を挟んだ向かい側にも別のセブンイレブンが出店した為に売上は激減し、支払に苦しむようになった。
中央区は人口が少なく(高所得者層が多く)、コンビニ店員の成り手は少ない。従業員は遠隔地から電車通勤する外国人ばかりになった。漸く採用して教育をした店員が、近くの店に引き抜かれることも有ったという。人手が足りないため、高校生の長男と次男も店舗で働くようになった。
オーナーは資金繰りに苦しむようになり、家族の毎日の食事は店の廃棄弁当だけになった。奥さんはドラッグストアのアルバイトに出て、その給与を自店のアルバイト従業員の給与の支払に充てるようになった(←それが成り立つとは思えないが、店舗運営を辞めることもできなかったのだろう)。
長男の学費も店舗代金の支払に充てた為に、長男は大学進学を断念、自店で働くようになったのだが、2014年9月、夜勤を終えた後に長男は自殺した。葬儀の日も店を閉めることは当然出来なかった。
今年2019年2月末、本部から店舗閉鎖の通知を受けた日、オーナーは失踪した。1か月後北海道で発見されたが、3月末に店は閉店した。そして先月7月11日、長男に続いてオーナーは自殺した。

…というのが報道されている内容で、遺族はセブンイレブン本部のドミナント戦略(特定の場所に集中的に出店する戦略)が、この悲劇の原因だと訴えている。

確かにこの周辺、いやこの交差点周辺にだけコンビニは異様に多い。


ただセブンイレブン本部の行動は”違法”ではない。ドミナント戦略自体は(本部の戦略としては)間違っていない。効率が良くなりグループ全体の利益は増え、一店舗当たりの売上も最初は減るが徐々に回復する(一店舗だけの時よりはもちろん減るが)。フランチャイズ店オーナーと交わしている契約書には、「XXm内には出店しない」と言った他店出店に関する条文も無いはずだ。
ただ…何と言うかセブンイレブン本部の方針は「血も涙もない」のは事実だ。
買い物帰りにこのセブンイレブンの前を通った。すぐ向かいに別のセブンイレブンが有るがここで買う気は起きず、交差点反対側のミニストップでソフトクリームを買った。
閉店した店の前には花束が置いてあるが、周囲を行き交う人の多くはこの事件を知らない。

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