ヨットで暮らす人

荒川港にヨットが係留してあった。日の丸の旗が揚がっているが、船には「阿里山(アリシャン)」と書いてある。ソーラーフレーム(自家発電)が付いていて、長距離の航海が出来るのが見て取れた。
ガイドブックによると荒川港は「国際避難港 」に指定されており、海が荒れた際は外国籍の船舶も避難してくるとの事。荒川温泉から上がったあと、船の中に声をかけてみた。

船にいたのはヤンさん、オランダ人。どれくらい航海しているのかと尋ねたら、ちょっと質問の意味を解しかねたように「23年間」と答えた。僕も意味がよく分からなかったが、話を聞いてみると本当に23年間旅をしているようだ(そのままだけど)。旅の途中で仕事をしたり、船を買いかえたりして、一箇所に1年以上いることもあって、どこからが旅で、いや「旅」とは何かという、まぁ答えの無い話になりそうなので詳しくは聞かなかった。普通の日本人よりは僕は抵抗は無いと思うのだが。

日本では福岡で語学教師になり、割りと長い間住んでいたようだ。いや家は無いので長期滞在をしていたという表現の方が適当か。港にヨットを留めてそこで生活していたそうで、この「阿里山」は日本で中古で買ったものだ。
リッチですねと言ったら、日本人はいつもその話題を一番に言うと笑われた。僕のように旅の話から会話をはじめる人より、お金の話からする人が多いようだ。
僕もあの旅の後に聞かれたことは「いくらかかったか」「その間仕事はどうするのか」といったことがほとんどだから、まぁ理解できる。旅の話、例えば「どこでは何食べた?」とか「何人はどういうくらしぶりをしているか」と聞いてくる人はほとんど居ない(笑
ちなみにこの船の値段は、中古のマンションくらいとの事。「私はホームレス。家を買う日本人の方がよりリッチだ」と言っていた。

これからは甑島諸島や屋久島、沖縄、宮古、石垣を経由して台湾、クリスマスは香港で迎えるという予定だそうだ。欧米人は冬は暖かいところで過ごしてまた日本、夏にアラスカを経由してアメリカへ移動するヨットが多いそうだ。考えただけで楽しそう。

ヨットはベットルームやトイレも2個有り、それなりに快適そうなのだが、広い海でこれだけの小さな船だとやはり寂しそうで、自分には耐えられないような気がする。英語、日本語もそれなりに理解する人なので話は面白かったのだが、大瀬崎の夕陽に遅れそうだったので半時間ほどで別れた。

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