西アジアの遊牧民の染織展

たばこと塩の博物館での【西アジアの遊牧民の染織】展。
ペルシア絨毯輸入販売業の丸山繁氏の講演。
氏は30年前に脱サラ、イラン各地を毎回1か月程度かけてまわり絨毯を仕入れ、日本帰国後に展示会を開いて販売というスタイルで毎年イランへ渡航。独学で絨毯を見る目を養ってきたと言う。
氏が取り扱うのはアンティークの絨毯のみ。現代の機械織のものや、化学染料使用のものは仕入れない。数年前からはイランへ行ってもアンティークのものはもう入手できないとの事で、最近は新しい仕入れは行っていないと言う。

過去は遊牧民女性は16~18歳くらいに何年もかけて絨毯を織って嫁入り道具としたそうで、普通は女性が一生に織る絨毯は一点のみ。20代になると視力が落ちて、家事に追われたり集中できなくなり、この作業から引退した。現代は若い女性はもうそんなことはせず、手織りだとしても、工場で生産しているものしかないらしい。

今回の展示で観た絨毯は製作後60~120年ほどたったものばかり。販売会ではないので価格は分からず。公的施設の為に営業活動は行っていけないらしく尋ねても答えてくれない(横に学芸員がずっと居る)。ネットで検索しても丸山氏はウエブサイトを持っていない。

写真のものは中央よりやや上部に帯状に変色具合が異なる部分がある事が分かる。織ったのは遊牧民なので、その部分を織った時はどこか別の地域に居たのだろうとの事。そこでは染料となる素材が異なったのだ(染色に使用する天然素材は赤だとザクロの皮や茜など)。製作当時は色の違いは無かったであろうとの事。積年の使用でその部分だけ色の落ち具合が異なったのだ。他に文様の意味、絵柄が対称ではない手織りのアンティーク絨毯の楽しみ方などを知る。 このような点が価格が騰がる要因なのだが、知らぬ人の場合は不良品と思うそうだ(売り手である遊牧民ですらもそう思っていた事も有たっと)。
その他に、この展示の半分の目玉である塩袋(遊牧民が塩を入れる袋)についても知ったが、次の機会に。
講演会で東京海外旅行研究会の西山氏と遭遇。色々な分野にアンテナを張っていることに感心する。謎に包まれている今後の活動を知りたい...


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