隣の席に来る人は/ペンシルバニアに40年

金曜夜の成田発福岡行ANAはほぼ満席で、隣の席に座ったのは小柄なおばさんだった。
収納棚にカバンを入れるのを手伝った後に「上の棚には液体類は入れないでください。気圧の関係で漏れる場合が有ります」とのアナウンスがあった。おばさんに「あら、お水が入っているの」と言われ「未開封なら大丈夫じゃないですか」と自分は答えたのだが、それに対しておばさんが返した言葉は流暢な英語だった。まさか英語で返ってくるとは思わずいきなりの事で聞き取れなかったが、かばんを下ろしたいという意思は分かったので、通りがかったスチュワーデスに、棚から荷物を取り出してもらった。

これを機に話しかけた。結婚してアメリカに住み40年。今回は早岐(長崎県)に里帰りするところだと言う。「40年ぶり!?」と驚く自分に「oh no, three times a year」と笑う。日本語は覚えていて、どんな難しい日本語も聞き取れるし話せるのだが、自分の口からはとっさには日本語は出ないことが多いと言う。

話が色々と面白い。ペンシルバニアに家を建てて住み40年、子供は7人、孫は10人。これからもっと増えていくだろう、家は4000坪で今は夫婦2人だけで住んでいるとの事。日本に居る時に産まれた子供は女の子ばかりの三つ子で、名前を「さき」「せいこ」「ぼ**(←聞いたけど忘れた)」とつけた。頭文字をとると「佐世保」となり、アメリカ人とのハーフという事も有り、有名になったとか。

予想どおり結婚相手はアメリカ海軍兵。当時おばさんはバスガイドだった。結婚して子供を育てて佐世保で暮らしていたが、夫がアメリカに戻ることになり移住。除隊後に大学に入った夫は現在は大学講師で歴史を教えていると言う。
おばさんの母親は97歳でまだ元気で、おばさんの兄弟で交代で面倒を見ていると言う。おばさんの弟が旅行に出るので、今回はアメリカから一人で帰国、1か月早岐に滞在すると言う。
現在はアメリカ国籍でアメリカのパスポート。思考は日本人でもあり、アメリカ人でもあると言った感じ。「将棋や碁をやる人は現在も居ますか?」「節分には今でも鬼の面をつけて豆を投げますか?(甥とやりたいが今の子供にもその知識は有るか)」とか。
「飛行機は最近はもっぱらスターアライアンス、UAとANAになったわね。昔はNORTHWESTが…」とかこれまでに行った国(リゾートが多い)や、アメリカのあちこちにいる家族親戚をまわる旅の話など。
福岡空港に着いた途端「ありがと、楽しかったわ」と言い急いで飛行機を降りて行った。連絡先でも聞いておけばよかった。


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