【喜至楼】山形県最古の温泉旅館建築に泊まる/瀬見温泉

金曜日の宿は、山形県最上町の瀬見温泉にある「喜至楼」。山形県で最も古い温泉旅館建築といわれる宿で、現在も宿泊できる。ネットでは楽天トラベルと提携しているが、確認したときには空室がなかった。それでも電話してみると、あっさり予約できた。

実際に来てみると客室数はかなり多い。夕食は当日では間に合わないとのことで、朝食だけお願いした。

玄関から中へ入ると、近代的な温泉ホテルとはまったく違う。木造の階段、長い廊下、福助人形、館内に点在する風呂。増築を重ねてきた建物なので、館内図を見ないと全体像が分かりにくいほど入り組んでいる。


温泉は無色透明、弱アルカリ。長く入っていられる。一晩で3回入ったが、千人風呂(ローマ風呂)もオランダ風呂もいつも自分だけで貸切だった。翌朝分かった事だが、この日の宿泊客は7組10人。

自分の部屋は本館2階、大浴場「千人風呂」の真上にある6畳の和室だった。一人宿泊の一番安いプランでは、この辺りの部屋になるようだ。アルミサッシとテレビを除けば、大正時代から時間が止まっているような客室で、喜至楼の中でも古い部分なのだろう。すぐ近くには共同台所もある。

当日予約なので夕食無し。新庄のスーパーで惣菜など買ってきたが、宿に自炊施設が有った。調理するようなもの(肉とか)買ってくればよかった。

千人風呂

喜至楼にはいくつもの浴室がある。その中でも目を引くのが「千人風呂」、別名ローマ風呂。名前だけ聞けば巨大な浴槽を想像するが、印象に残るのは大きさだけではない。浴室の壁には、ギリシャ神話の半獣神パンと妖精シュリンクスの壁画が描かれている。なぜ山形の古い湯治宿にローマ風呂があり、ギリシャ神話の壁画まで描かれているのか。その取り合わせも含めて、この宿が単なる「古い木造旅館」では終わらないところだ。

湯は無色透明の弱アルカリ性で、熱すぎず長く入っていられる。一晩で3回入ったが、千人風呂は毎回自分一人だった。翌朝になって、この日の宿泊客は7組10人だったと知った。あれだけ大きな建物の中に10人しか泊まっていなければ、館内が静かなのも当然だった。

オランダ風呂

もう一つ、「オランダ風呂」という浴室もある。ローマ風呂の次はオランダ風呂。さらに家族風呂もあり、館内を歩いていると、時代ごとに付け加えられてきた宿の歴史をそのまま巡っているような造りになっている。

オランダ風呂にも入ったが、こちらも自分一人。大きな温泉旅館に泊まりながら、いくつもの風呂をほとんど貸切状態で使うことになった。

オランダ風呂

家族風呂

今も残る湯治宿の暮らし

当日予約だったので夕食は付けられず、新庄のスーパーで惣菜などを買ってきていた。ところが館内を歩いていると、本館2階に共同台所がある。食器や調理器具も一通り揃っている。肉や野菜を買ってくれば、ここで普通に料理できた。これは単に宿泊客向けのサービスとして台所が置かれているのではなく、喜至楼に今も湯治宿としての性格が残っているからなのだろう。

朝食後に女将さんと話した。今でも長期間滞在して湯治をする人がおり、近隣だけでなく遠方から来る人も少なくないという。この日も名古屋から来た夫婦が10連泊していた。

女将さんとの話でもう一つ印象に残ったのが、雪の話だった。この年は雪が少なかったそうだが、例年なら屋根の「雪落とし」に200~300万円ほどかかるという。「雪下ろし」ではなく、ここでは「雪落とし」と言うらしい。巨大な木造旅館を残すということは、建物を壊さずに置いておけばよいという話ではない。毎年雪が積もり、そのたびに人の手と費用をかけなければならない。


喜至楼

〒999-6211
山形県最上郡最上町大堀988
0233-42-2011
素泊
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