ペルー料理【La Estacion】週末夜は賑やか/宗道

パダン料理「PADANG」で食事をした後、もう一軒寄ってみることにした。向かったのは、前回この辺りを訪れたときに時間が足りず行けなかったペルー料理店「La Estacion」。食べログには口コミが1件もなく、ネット上にも日本語の情報はほとんどない。Googleマップの写真を見る限りでは、スナックかバーの居抜きのような小さな店に見える。
ナビに住所を入れて走っていくと、たどり着いたのは下妻市の県道沿いに建つ、少し年季の入った2階建ての建物だった。その1階の半分ほどが目当ての店らしい。ただ、看板だけを見ていたら少し迷ったかもしれない。店の前でラテン系らしき人たちが肉を焼いていて、その様子を見て「ああ、ここだ」と分かった。

外観からは中の様子がほとんど分からない。スナックかバーのような雰囲気のドアを開けてみると、まず小さな待合スペースのような場所があり、その先にもう一つ開いた扉がある。そして、その向こうを見て少し驚いた。
人が多い。
外から想像していたより店内はずっと広く、バーカウンターで飲んでいる人、テーブルを囲んで食事をしている人、席には座らず立ったまま話している人など、おそらく30~40人くらいはいただろうか。
しかも客層が実に幅広い。子どもから若者、中年、高齢者までいて、家族で食事をしている人たちもいれば、男性だけのグループ、若いカップル、学生くらいに見える若者のグループもいる。祖父母、親、子どもという3世代らしき家族もいた。顔立ちや体格もさまざまで南米系らしい顔立ちの人もいれば、ヨーロッパ系にも日系人のように見える人もいる。見た目だけで出自は分からないが、ペルーという国がさまざまなルーツを持つ人々によって構成されていることを、東京から100kmも離れていない茨城県下妻市のレストランで感じることになった。
そして何より面白かったのは、ここが「外国料理を食べに行く店」というより、近隣で暮らすペルー系の人たちが土曜日の夜に集まる場所になっているように見えたことだ。店内で飛び交う言葉も、周囲の雰囲気も、日本の普通の飲食店とはかなり違う。しかし、そこにいる人たちにとっては特別な「異国の空間」でも何でもない。週末に家族や友人と集まり、食べて飲んで話をする、ごく普通の土曜日の夜なのだと思う。

メニューを見ると、どれも美味しそうだが、分はつい先ほどインドネシア料理を食べたばかり。さすがにお腹はあまり空いておらず、しかも車なので酒も飲めない。注文を取りに来た黒髪の若い女性店員は日本語が上手で、「肉のグリルなら早く出せますが、今晩は料理が出るのに時間がかかります」と申し訳なさそうに説明してくれた。これだけ客が入っているのだから仕方ない。それでも何か食べてみたかったので、魚介のフライとインカコーラを注文した。
しばらく待って出てきた魚のフライは、軽く食べるつもりだった自分の予想に反してなかなかのボリューム。料理を運んできた男性店員から「辛いソースは大丈夫でしょうか」と丁寧に聞かれ、「ええ、たぶん。ぜひ」と答えると、タルタルソース、サルサ、それにもう1種類のソースを持ってきてくれた。
白身魚のフライなので料理そのものは比較的親しみやすい味だが、面白いのは一緒に添えられていた大粒のトウモロコシ。カリッと揚げられていて、日本で一般的に食べるスイートコーンとは食感も味もかなり違う。魚のフライの合間につまむと、これがなかなか良いアクセントになる。
ペルー料理というとセビーチェやロモ・サルタードなどが知られているが、ペルーではジャガイモだけでなくトウモロコシも重要な食材で、日本で見慣れたものとは違う種類がいくつも使われる。こういう脇役の食材に、その国らしさが出ているのも外国料理を食べ歩く面白さだ。






せっかくメニューには気になる料理がいくつもあるのに、お腹いっぱいの状態で来てしまったのでほとんど試せない。次に来るなら何も食べずにここを目指して、できれば何人かで来た方が良さそうだ。一人で一皿ずつ注文するより、大勢でいくつもの料理を頼んで分けて食べた方が、この店はずっと楽しめると思う。
店内の写真も撮りたかったが、これだけ大勢の人がいる中でカメラを向けるのはさすがにやめておいた。そのため写真だけを見ると、普通のペルー料理店を訪れた記事にしか見えないかもしれない。しかし、この店で一番印象に残ったのは料理以上に、ドアを開けた先に広がっていた土曜日の夜の光景だった。
東京から車で走ってきた下妻市の県道沿い。古い2階建ての建物の外からは、そこに30~40人もの人が集まっているとは想像もしなかった。しかも店内では、子どもから高齢者までが家族や友人と一緒に食事をし、酒を飲み、スペイン語で話している。観光客向けに作られた「ペルーらしい店」ではなく、日本で暮らす人たちの日常の中にあるペルーだった。
直前に訪れたインドネシア料理店「PADANG」でも感じたが、外国人の多い地域を歩いたからといって、街並みそのものが急に外国のようになるわけではない。日本の地方都市としてごく普通に見える道路を走り、ごく普通に見える建物の扉を開けると、その中に自分の知らなかった人たちの暮らしがある。この日のLa Estacionは、そんな「日本の中の異国」を強く感じた店だった。次は腹を空かせて、もう一度来てみたい。できれば一人ではなく、大勢で。
La Estacion Shimotsuma
茨城県下妻市本宗道1021-1
サイトは無く、FBもinstaはスペイン語のみ。
月火水木曜日:休み
金土曜日:12:00~22:00
日曜日:12:00~20:00
常総エスニックドライブ
2025/8/30(土)夜

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