ドラマに出演 2-1

実は家にテレビは無い。正確に言うと有るのだが使い物にならない。なぜかチャンネルが切り替わらなくなり、テレビ東京(たしか)しか観れないのだ。
…と言う訳でいつの間にかテレビは観ないようになった。しかし今期、観たいドラマがあった。「不毛地帯」。 山崎豊子は高校生の時に読んだ「大地の子」で知った。大学生のときドラマ化され、体制が急に変わりつつあった中国(&満州)への興味を募らせるきっかけになった。今年になりなぜかタイミング良く(?)「沈まぬ太陽」が映画化されたこともあり、「不毛地帯」も気になっていたのだ。
テレビは無いのだが便利な世の中、ネットでも観れる(不法だ)。毎週放送から数日遅れで観ている。
視聴率がいまいちパッとしない(10%くらい)ようだが関係ない。最近一番興味が有るものと言えばこれだろう。ストーリーが重いのかもしれないが、前作「白い巨塔」「華麗なる一族」と比較してもそう変わらないと思うのだが。
という毎日を過ごしていたら「エキストラ探してる」という話をキャッチした。日時は2日後の早朝から明治記念館。パーティーシーンの撮影で”大人な男女”で衣装持込で出来る人を探しているという。なんて急な話なんだ。迷う間も無く名乗り出た。こんなのも経験だ。
カズに一緒に出ないかと誘ってみたが「事務所に所属しているから勝手に行動しちゃいけない」とのこと。バイトのゆかんこも誘ってみたが衣装が無いと断られた。
千葉を朝6時半の列車で東京へ向かう。仕事は半日休むことにした。半日くらいならYさんがうまくやってくれるだろう。最初は6時集合と聞いていたのだが、男性は普通のスーツで良いので衣装合わせ・髪のセットも不要だから7時半集合で良いと前日にメールが届いた。現場に6時だったらよく考えれば無理だな。助かった。服装の指定は”パーティに出るスーツで”というだけ。昔っぽい靴なら尚可とのことだが、まぁ普通の黒靴で。
“現場”の明治記念館には既に、ロケバスが留まっていて人の出入りも多い。玄関でAD(←と言うのだろうか?)の人から「君は?」と尋ねられ「あ、エキストラのN西です」と答えると「お疲れさま!控え室でおにぎり食べて待ってて下さい、また声かけますので」と言われる。
この場所だけで100人以上の人が動いていて、ドラマの撮影ってこんなにたくさんの人が必要なのかと驚く。さらにこれだけの人が計画通りに動いていることにも感心した。
パーティーのシーンの撮影ということでエキストラは数十人いた。半分程度は欧米白人系の外国人だ。残りの日本人も自分のような”素人”は10人程度で、残りはプロのエキストラだった。プロの人達はこのような台詞の無い、そして映るかどうかも分からない現場を毎日動いているようで、こんな仕事もあるのかと驚いた。ほとんどの人は目で挨拶をしている。顔は互いに知っているようだが、世間話もほとんどしない。寡黙な人が多いようだった。所謂、派遣労働者みたいだ。それとは正反対で外国人の方は賑やかだ。英語だけでなくフランス語、スペイン語が飛び交っている(ドイツ語は居ない)。共通の言語は日本語だ。かなりスラングな日本語(←説明するのは難しい)を話す人が多かった。
メイクの人に髪型をセットしてもらう。髪の短い人ばかりでほとんどの人がアッという間。僕もかかったのは一瞬だけなのだが、メイクの人はじっと僕をみて言った。「あなた妙に似合ってるわね。ボリュームもぴったり」。なぜか忍び笑いをされているようだった...