出津教会堂のオルガンの音色

出津教会の訪問は三度目だろうか。長崎の寒村に明治時代フランス人神父が村人と建てた教会は国重要文化財。世界遺産にも選ばれてから訪問者が急増している。
堂案内してくれた修道女が解説する。

「このオルガンは、パリ万博で銀賞をとったフランスのデュモン社製のものです」
「それはデュモン社のこのモデルが銀賞をとったと言う意味ですか?このピアノそのものが受賞したという意味ですか?」
「いえ、ここにあるまさしくこのオルガンが受賞したのです」
えええ!なぜここに有るの!?
「ドロ神父は貴族の家系でしたがフランス革命で父親はその地位を追われ、莫大な資産(現在の価値で13億円)を没収されるくらいならと、信仰の世界に生きる息子に託したのです。ドロ神父は貧困にあえぐ信者に最高水準の教育と、それから逃れる為の知識技術を与えようと、フランスから本物を取り寄せたのです。」
現在は価格のつけることの出来ない非常に貴重なもので、もちろん触ることは許されない。
その本物を自分の目の前で修道女が弾いてくれる。世界遺産の教会で本物の音色を聴く、プライスレス。


ドロ神父の几帳面さが分かる支出簿。極東の僻地で慎ましやかな暮らしぶりが分かる。
〒851-2322 長崎県長崎市西出津町2633