[大丸屋]最上川沿い割烹旅館/朝日町

レンタカーは翌朝10時に米沢で返却しなければならない。月山から行くには少し遠いので、最上川を少し遡ったあたりで宿を探した。町のパンフレットの宿泊施設一覧に掲載の電話番号に、大江町役場の公衆電話で予約。

「当日の予約ですみません、食事用意できなければ素泊まりでも」と伝えたが「いえ、大丈夫ですよー」との事。全国割は使用できない期間(1/9宿泊)だが、町独自の割引制度が有り、30%引補助が受けられると。

最上川沿いの古い街並み、朝日町の中心部の旅館。女将さんが丁寧に迎え入れてくれる。「こんな辺鄙なとこまでどうしてまた…お仕事ですか?」との問いに「いえ観光で。西川町の方に」と言葉を濁して答える。

通された部屋は古い蔵をリノベした広い和室。
建物の中に蔵が有る珍しく感じる構造。
着いて荷を解いてすぐ食事にしてもらった。

蔵をリノベした今宵の部屋。渋素晴らしい。

え、この値段でこの食事…良いの?「もしかして、今晩僕一人の貸切ですか?」「ええ、一晩お好きなようにお過ごしください。お風呂もいつ入っていただいても結構ですよ」

夕食にビールを頼んだら(もちろんこれも30%引)、「ビールのあてにどうぞ」と肉をサービスで出してくれた。お得過ぎて申し訳ない。

1時間以上かけてゆっくり食べて、風呂に入ると、寒くて湯から上がれない。前夜は雪山で一晩過ごしたと言うのに… この日の睡眠は長くは無いが深い眠り。

最初は1泊夕食のみで予約をしたのだが、「ご遠慮なさらずに、朝食の用意も何時でもできますよ」というので朝食も。がっつり食べる。

宿を発つ際、女将さんに恐る恐る尋ねた。

「あの、変わったお願いなんですが…無理だったら断ってもらっても全然問題ないんですが…実はスコップが有るんですが貰ってもらえませんか?」「え、スコップ!?」「実は斯く斯く云々で…昨日は大江町で雪洞で泊まったんです」「へぇ面白い!お客さん冬山登山をされるんですか?」「いや、全くされないんです(笑) まぁ練習と言うか体験と言うか…スコップ持って電車に乗って東京まで帰るのも何なんで…」「そういうことなら買取さしてもらいますよ、スコップなんてこのあたりじゃいくら有っても困らないんで」「いやいや、本当に引き取ってもらえるだけで自分は有りがたいんです!本当に」 というやり取りをしてスコップ処分完了。

本当に居心地の良い宿だった。今回の宿は、町作成のパンフの宿一覧を観て知った。楽天などの予約サイトとは契約していないので、予約サイトを検索していては見つけなかっただろう。観光地ではないし、地元の冠婚葬祭など宴会需要で成り立っているのだろう。日本の地方はこれだから面白い。

帰宅後にネットで検索して知って驚いたのだが、この宿は山形県朝日町長の家。なんと無投票5選目。無敵じゃないか。町の名士なのだろう。本人とは電話予約の時にしか話していない。滞在中は女将さんとしか接していないのだが、町長の奥さんだったのか。物腰も丁寧で素晴らしい対応だった。

NAKANISHI KEIICHI

旅が好き

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