一日の最後はマスジッド―コーランを貰い帰る

さて、そろそろ帰る時間。朝からずっと車で外国人コミュニティや外国料理店、宗教施設を巡ってきたので、参加者に疲れが見えている。明らかに「もう帰ろう」という空気が漂っている。

しかし、近くにもう一か所、行ってみたい場所があった。マスジッド。「これで最後だから」と半ば強引にみんなを連れて行く。この日の朝も坂東市矢作でハラルショップの裏にあったわずか6畳ほどの小さなマスジッドを訪ねているが、ここには何十人もが入れる大きなマスジッドが有るのだ。

ちょうど礼拝が終わったところ

到着すると、マスジッドの前に何人かの男性がいた。サルワール・カミーズを着ている。どうやら、一日に何度か行われる礼拝の一つが、ちょうど終わったところらしい。礼拝を終えた人たちが建物から出てきている。
以前にもここに来たがその時は誰もいなかった。同じマスジッドでも、実際に人が集まっている時間に来ると印象はかなり違う。中に入ってもよいか尋ねてみる。

すると中から、髭を生やしたイマームらしき男性が出てきて、快く迎え入れてくれた。

「I’m interested in…」と言ったばかりに

せっかくなので少し話を聞いてみよう。思わず「I’m interested in…」などと言ってしまったのがいけなかったのかもしれない。「イスラムについて興味がある日本人が来た」と思われたようで、実に丁寧に説明を始めたのだ。ムスリムの生活について、一日に何回祈るのか、祈りの時間について。かなり基本的なところから、一つ一つ分かりやすい英語で話し続ける。もちろん親切で話してくれているのでありがたいのだが――。

終わりが見えない。

こちらは朝から一日中走り回っている。自分以外の4人は、たぶんもう完全に帰りたい。後ろから無言の圧力を感じるような気もする。これはまずい。せっかく丁寧に説明してくれているところ申し訳ないのだが、途中で話を遮り、お暇することにした。

最後は記念撮影

帰る前に、みんなで記念撮影。こちらのカメラで撮り、向こうのカメラでも撮る。こういう時は、言葉がそれほど通じなくてもあまり関係ない。一緒に並んで写真を撮れば、それで何となく仲良くなったような気がする。
「ありがとうございました」と足早に建物を出た。

そういえば、コーランを貰った。しかも自分だけ。

日本で暮らす外国人を見る旅

こうして一日を振り返ってみると、外国料理を食べ歩いただけのドライブではなかったと思う。もちろん外国料理は面白い。ハラルショップや外国食材店を覗くのも面白い。でも、その先には日本で実際に暮らしている人たちの日常がある。朝に見た小さなマスジッドも、スリランカ寺院も、元スーパーのヒンドゥー寺院も、最後に訪れたこのマスジッドも、観光客のためにつくられた「異国」ではない。日本で暮らす外国出身の人たちが、自分たちの生活のためにつくった場所だ。だから面白いのだと思う。東京から車で一日走っただけでも、こんなにいろいろな「日本の中の異国」がある。

手元にはパキスタンマンゴーと大量の茄子。それに、一冊のコーランが残った。

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