【同志少女よ敵を撃て】逢坂冬馬

貰った本なので感想書かなくてはと思いつつ時間は流れ…。 本屋大賞をとったのは知っていたが、ライトノベル感が有って(だってこの表紙も…)自分で買う事は無かったのだが気にはなっていた。

序盤はやはり戦記物ライトノベルのような文体が気になるが、言い換えると”読みやすい”感じで舞台に入り込んでいく(ソビエトとかに興味のない人はどうなのかは知らぬ)。

スターリングラード攻防戦とケーニヒスベルクの戦いの描写で、筆者がマニアなのが分かる。タイトルの「敵」とは誰なのか何なのか。敵は登場する女性狙撃手それぞれ違う。そして主人公セラフィマがケーニヒスベルク戦後に最後に撃った”敵”は…
途中「この話、どこかで聞いたような…」と思える場面が。ノーベル文学賞を受賞したロシア人の書いたノンフィクションで、日本でコミック化もされた「戦争は女の顔をしていない」。この「同志少女よ~」の最後の章で、この小説はそのノンフィクションのオマージュで有ることがさらっと明かされる。

この本が出版されたのは2021年11月(ロシアのウクライナ侵攻の3か月前)。作品中に出てくる「ウクライナのコサックの娘」であるオリガ。ソビエト時代はコサックは徹底して弾圧され、戦後もオリガが夢見たコサックの復権は無かった。
ウクライナ国歌のタイトルは「ウクライナは滅びず」で、歌詞には「我らは自由のために魂と身体を捧げ、兄弟たちよ、我らがコサックの氏族であることを示そう」とある。
すごいタイミングで書かれたものだと感心する (この小説の主題ではそこではないが)。

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