「密航・命がけの進学」芝慶輔

 密航・命がけの進学― アメリカ軍政下の奄美から北緯30度の波涛を越えて
芝慶輔/他
五月書房

昭和20年8月、敗戦後に沖縄はアメリカに占領された。その半年後に奄美とトカラ列島も日本領でなくなったのはあまり知られていない。その後、奄美とトカラにはアメリカの軍事政権である奄美群島政府が発足する。島民は琉球(沖縄)に行くのも、日本(鹿児島)に行くのにもパスポートが必要になったのだが、島の中だけでは生きていけない。優秀な人達は進学したくて(島にいても無為な日を過ごすだけ)、密航することになった...という話。体験談集。

鹿児島にたどり着く前に運悪く七島灘の海の藻屑となってしまう人。密輸品である砂糖を騙し取られる人。本土に上陸後も様々な苦労をする人々。警官に見つかればパスポート不所持で逮捕され、強制送還される。当時の日本人すら奄美政府のことはよく分かっておらず、しかしその無知ゆえに日本人(奄美は当時”外国”だ)に紛れ込んで生活を始めていく。
当時を知る人達は少なくなってきている。記録を残しておかなければ、いずれ歴史に埋もれて忘れられてしまうだろう。

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